再び、1階の居間でお話しを伺いましたが、家を造るに当たっていちばん気を使ったことはと聞きましたところ、Sさんは“風の流れ”だということでした。「東の風を充分に取り入れるために、自家用玄関にオープン窓(上下スライド)設けて風通しを良くして頂きました」とおばあちゃん。また、「壊す前の家は、シロアリにやられてしまいましたので、基礎を20センチほど高くしてシロアリには十分気をつかいましたし、玄関からアプローチを通って雨に濡れずに車庫まで行けること、屋根を広くし、採光を充分に取り入れる工夫が随所にあってとても感謝しています」と話すSさんでした。
この家の最大のポイントは“夏涼しく、冬暖かく”という点にこだわったことでした。いま、三浦工匠店が最も薦めるのが断熱材に変わる遮熱材を使用することでした。反射率97%の“リフレクティックス”は、ほとんどの熱線を撥ね返すことで、“夏涼しく、冬暖かく”を可能にするため、天井、屋根、床下など全面的に採用したとのことでした。「その効果をさらに高めるために、サッシは高断熱・高気密サッシを使ったほか、居間・食堂・台所には電気式の床暖房を設置しました。本当の効果はこれからでしょうが、春先の寒い日などは、この小さなエアコンひとつで過ごしました」とこれからの期待感は大きいとSさんは言います。
あらためて、外からS邸を眺めてみると、車庫を取り込んだ日本瓦葺き・一部ガルバリューム鋼板葺きで仕上げた屋根の大きさに驚きます。そしてモルタル塗り弾性リシン吹き付けの外壁が純和風的な落ち着きを漂わせています。おばあちゃんが「職人さんは一生懸命な人ばかりで感心しました」という一言は、インタビューで最も忘れられない言葉でした。いい家は、イイ職人さんを抱えるイイ工務店が造るということでしょうか。(取材・ネットマガジン・建設メディア)(2008.6.26)