吾妻連峰の麓、福島市・高湯温泉に至る静閑な自然の中に、福島市内では珍しい「貸茶室専用処・一灯庵」が増設工事を終え7月にオープンした。施主は茶道を愛し、日本古来の伝統文化を大切にする市内在庭坂の加藤嘉夫さん(=写真)。茶道具や美術品を専門に取り扱う株式会社不二林の代表取締役である。
加藤さんは2年前にも館内に四畳半の茶室と建築し茶道愛好家や市民に語らいの場を提供したことは、福島友(2012.8.17付)が紙上で紹介し話題を呼んだ。建築したのは今回同様、三浦工匠店に依頼した。加藤さんと三浦藤夫さんは40年以上の親交があり、「茶室の建築は伝統技術を大切に守り、日々研鑽する三浦さんに頼むしかない」と心に決めていたという。今回の「八畳大広間」は立礼席を改造し茶室と連携したことで、茶室が一段と趣深いものとなった。室内には北山杉(京都産)や秋田杉の香りが漂い、外からは鳥達のさえずりが聞こえる。
三浦工匠店では、四畳半の茶室と八畳大広間を建築したほか、館内中庭に通じる「欅玄関門」も再現した。この"くぐり門"は釘1本使わない技法で復元した者で、20数年前から加藤さんから預かっていた古材だ。「この日のために、三浦工匠店で大切に保管してくれて感謝している」と語った。
■茶室完成時の福島民友の記事
http://www.shinsukiya.jp/news/h24/index.html#120822