話はいつしか、文化財の保護に及んだ。「今回の震災で分かったのですが、行政は壊す方にはお金を出すと言っていましたが、なぜ保存する方にはお金を出さないのでしょうかね」と奥山さん。日頃から三浦さんも著者も所属するNPOで疑問視する点だ。「文化財級の古民家を維持・保存する方々の共通する点がそのことなんですが、近く三浦さんを中心として古民家再生のプロジェクトチームを立ちあげる方向で話が進んでいます。お互い行政に進言しましょう」と言うところまでのインタビューとなった。
奥山さんは最後に「モノをつくる職人さんの姿は良いですね。見ていて、とても気持ちが良かったです」とお褒めの言葉を戴いた。居間から障子越しに見た庭の雪景色に、また小雪が飛んで来た。奥山さんに送られ、母屋の玄関先から洋館の南側に出た。奥山邸に舞う小雪がさらに幻想的な風情を醸し出していた。(2013.2.26)
《取材協力・ネットマガジン・建設メディア》