阿部信江邸ご訪問インタビュー
福島市・御山
『広々とした空間と陽光あふれる家』
阿部信江さんのお宅を訪問した11月30日、福島市では初雪を観測した。本格的な冬の訪れを告げるような寒い日だったが、お宅にお邪魔して最初に感じたのは、屋内の適度な暖かさだった。ひとつには24時間自動制御の石油式床暖房のおかげであり、もうひとつは外光をふんだんに取り入れることのできる窓の多さに秘密があった。外の寒さとは対称的に、室内にはやわらかな初冬の陽光があふれ、ダイニングキッチンの高い天井部に取り付けられたファンがゆったりと空気を循環させていた。
築後35年以上経過した和風住宅を増改築し、今年7月末に完成した。立地が信夫山の北側の麓ということもあり、増改築前は特に東側からの日照が少なく、冬は暖房をしていても寒さを感じたという。また、住居東側を走る道路が幅員4m未満の「みなし道路」ということで、改築する場合には建物の南東部を切り取らなければならなかった。そこで、増改築にあたっての施主さんの要望は、とにかく外光をふんだんに取り入れられる大きな窓と建築面積が小さくなったことを感じさせない広々とした空間づくりだった。
そのため、以前は居間と台所を隔てていた壁を取り払い、玄関から通じる広々とした開放感あふれるダイニングキッチンとし、その天井も2階部の空間を利用した大胆な吹き抜け構造とした。内装は杉板材で統一し、屋内全体に温かみと安らぎを感じさせる効果を与えている。
また、高齢者も一緒に住まうため、以前は気になっていた廊下と部屋の間の段差をなくしたユニバーサルデザインとしたほか、施主さんがアレルギー体質ということで、壁材にはシックハウス対策として珪藻土仕上げを採用した。全体に窓が多いことで、換気性に優れ、それらを開放することで外気が十字に通り、酷暑と言われた今年の夏もそれほどはクーラーの必要性を感じなかったという。
工務店の選択に当たっては、知人から三浦工匠店を紹介されたそうである。その知人以外からも同工務店の評判の良さは聞いていたが、実際に作業場を訪れた時に積んであった古民家材をみて、「こんな材料を使って家を建ててみたい」と、依頼の意を強くしたとのことである。実際には古民家材の使用は実現しなかったが、採光性と開放感に優れた家づくりという当初の希望が叶い、「評判通りの良い仕事をしてくれた」と満足気に笑った。
(取材協力:インターネットマガジン・建設メディア)
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